アトピーや慢性湿疹の時のステロイド外用薬の上手な使い方
※本当は「一番上手な使い方」は誰にもわかりません。
今、日本各地のアトピーの名医と言われる先生方でも、それぞれステロイドの使い方は違います。どれが一番正しいと言うわけではありません。その患者さんによって使い方が違って当たり前です。
今回は私なりに考えた使い方の基本をお話したいと思います。
(外用薬:ぬり薬)
【1】ステロイド外用薬は使わないほうがいい薬なのですか?
現在「ステロイドは怖いから絶対使わない!」という意見の方も多くいらっしゃいます。
前回「ステロイドの副作用」を書きましたが、でもそんなに怖い薬なのでしょうか?
小学4年生のI君は、乳児の頃からひどいアトピーで悩んでいました。高知の先生、青森の先生と日本中の名医を探し、かかっていましたが一進一退でつらい日が続いていました。
冬のある日曜日、急に痒みがひどくなり耐え切れず救急病院へ行き強いステロイドの軟膏をもらいました。あまりにつらかったので全身へ3日ほど続けてぬりました。ところが驚いたことに、この日以来あれほど苦しかったアトピーが全く出なくなったのです。
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この出来事は偶然なのかもしれませんが、本当にあった話です。
もちろん強いステロイドを使えばよいと言うことではありません。このお子さんは小さい頃からのアトピーで、食生活や毎日の生活に家族中で取り組んでいました。治る準備ができていたのでしょう。そして、この強いステロイドがきっかけを作ったのだと思います。
※ステロイドは「上手な使い方」が大切だということです。
【2】ステロイドがお肌を治すのではありません。治すのは自分の力(自然治癒力)です。
<大切なこと>
お肌には常にキズや炎症を治して、きれいになろうとする力が働いています。お肌をきれいにするには、この自分の力を邪魔している原因を探し出し、排除するだけで良いのです。そうすれば、お薬は軽度のものを少量使うだけでよいのです。
実はお肌の治りを一番悪くしている原因は痒みなのです。せっかく自分で治ろうとしているのに、痒くてかきくずしてお肌にキズをつけてしまうのです。このかきくずす動作を止めさせるためにステロイドなどのお薬は使われるのです。
【3】少量のステロイド外用薬で治るために毎日すること
(1)お肌をいじめず、自分で治る力を出させる。
<スキンケア>
・ゴシゴシこすってお肌をいじめない。
・石けんの刺激から肌を守る。
・香料の入ったものを肌に近づけない。
・色素の刺激を上手によける工夫をする。(メイクアップカラー)
・お肌に乳液、クリームなど界面活性剤の入った物を使わない。(アトピー&超敏感)
・農薬、殺虫剤、消毒用石けん、強い化学物質の物を手やお肌につけない。
・紫外線を長時間浴びない。(ベース&サンケア)
・乾燥しないよう安全な保湿剤でお肌を守る。(アトピー&超敏感)
(2)体の中から炎症やただれを押さえる。
<食生活>
・食べ過ぎない。
・お菓子、ジュース、アイスはなるべく控える。
・油、肉、卵、牛乳製品を少なめに。
・野菜、海藻をしっかり食べる。
・冷たいものはなるべく少なく。
・特にチョコレート、ココア、チーズ、おもち、アルコール類は絶対控えること。
<他の生活面>
・寝不足しない。
・早寝早起きで自律神経やホルモンバランスを整える。
・軽い運動を毎日続ける。
・毎日フロに入り、血行を良くする。
こうやって上手なスキンケアと生活を整えることで治りやすい環境を作ります。そして、初めて薬を使います。治りやすい環境を作らず、薬を使えば、繰り返すので薬を長期使うことになり、必ず副作用が出るのです。
次回はもう少し具体的な使い方のお話をします。
実際は患者さん一人一人薬の使い方も生活養生も違います。詳しくはお尋ねください
ご質問は下記へどうぞ。
メール:soudan@eirakudo.com 薬剤師 岩崎文治
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